【この土地で賃貸マンション事業は成立する?】利回り・建築費・土地価格から採算性をチェック

不動産
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はじめに

「この土地に賃貸マンションを建てたら儲かるのか?」
地主や投資家にとって、最初に直面する疑問です。

土地は同じ広さでも、エリアや需要、建築費の違いで採算が成り立つ土地・成り立たない土地に分かれます。


特に近年は建築費の上昇が続いており、事業成立ラインの見極めが一層重要になっています。

↓賃貸マンション・アパート投資に関する大まかな記事はコチラから↓

賃貸マンション事業の採算性を左右する3つの要素

賃貸マンション事業が成立するかどうかは、以下の3つの要素で決まります。

  1. 家賃収入(収益性)
     エリアの賃料相場と想定稼働率をもとに年間収益を算出します。デザイナーズマンションや共用部が充実しているなどよっぽどの付加価値がない限り、上振れは見込めず周辺の相場で決まります。
  2. 建築費(コスト)
     構造・階数・仕様によって大きく変動します。近年はRC造で坪単価100〜150万円前後が一般的。
  3. 土地価格(投資原価)
     周辺相場だけでなく、用途地域・容積率・道路付けなども考慮する必要があります。

この3要素のバランスが取れていれば、事業として“成立”します。
逆に、どれかが突出して高いと採算が崩れます。

利回りから逆算して事業成立をチェックする方法

採算性の判断は、フルボリューム想定(容積率を使い切った状態)で得られる収益から逆算して土地に充てられる予算が売却価格に届くかどうかで判断します。

手順は次のとおりです。

まずは想定家賃収入を算出

想定賃料坪単価×延べ床面積(フルボリューム想定)×レンタブル比(90%程度)×12ヶ月

想定賃料:実際に市場に出ている坪単価を集める
延べ面積(フルボリューム想定):土地面積×容積率

目標利回りを設定

表面利回りを設定。
相場として、都心新築(RC)は3〜5%、地方郊外は6〜9%ではありますが、投資家によってどれだけ利回りを求めるかは異なりますので、こちらの判断が一番難しいところとなります。

物件原価を逆算

「年間収益 ÷ 利回り = 総事業費(建築+土地+諸経費)」

こちらが本プロジェクトにおいて、かけることができる総事業費です。

建築費・諸経費を差し引く

③で割り出した総事業費から、設計費・管理費・税金・融資手数料などを除くと、残りが土地に使える金額(=土地予算)になります。


建築費の把握が採算判断の第一歩

建築費は事業の根幹を左右します。
以下のように、構造や規模で単価は大きく変わります。

構造坪単価目安特徴
RC造(鉄筋コンクリート)約100〜150万円耐久性が高く都市部向き
鉄骨造約90〜130万円中規模・地方都市向き
木造約70〜100万円小規模アパート向き

加えて、設計費・外構・確認申請・地盤改良なども含めると、総工費は本体の1.1〜1.3倍程度になります。
建築費の見積もり精度が上がるほど、土地判断の正確性も増します。

【実践】簡易的な採算シミュレーション方法

これまでに「この土地に賃貸マンションを建てたら儲かるのか?」という観点から、土地に充てられる予算の割り出し方を説明してきました。

実際の数字を用いて、より理解を深めていきたいと思います。

条件
・土地:200坪(661㎡)
・容積率:400%

①想定家賃収入を算出

想定する物件タイプ(1LDK、1R等)、広さと似通った事例を集めていきます。
同じエリア・構造で、近い築年数のものから集めていきましょう。

今回は10,000(円/坪)で想定します。

↓賃料想定に関する詳細記事はコチラから↓

②目標利回りを設定

立地は地方の中心地を想定します。
また借入返済後に手元にキャッシュが残るように利回り6%と想定します。

③総事業予算を想定

総事業費予算収益 ÷ 利回り

・収益:賃料坪単価×土地面積×容積率×レンタブル比
    10,000(円/坪)×200(坪)×400%×90%=720万円/月
    720万円/月×12ヶ月=8,640万円/年

・利回り:6%

・総事業費:8,640万円÷6%=144,000万円

④総事業費から逆算して土地代を算出

土地予算総事業費 − 建築費 − 諸経費

・総事業費:144,000万円

・建築費:100(万円/坪)×200坪×400%=80,000万円

・諸経費:建築費の20%で想定
     80,000万円×20%=16,000万円

・土地予算:144,000万円ー80,000万円ー16,000万円=48,000万円
      48,000万円÷200坪=240万円/坪

専門家・事業パートナーと進める採算確認の流れ

これまでの流れである程度成り立つか、成り立たないかを判断できれば、詳細に関しては専門家に相談を行いましょう。

特に諸経費の部分や、運用期間中の支出想定、建築の部分に関しては考慮すべき項目が多いため、初めてチャレンジする方が全て一人で行うことは不可能に近いでしょう。

また賃貸住宅だけで採算が厳しい場合でも、低層階の店舗併用などで再検討する方法など専門家ならではのアドバイスをいただける場合もあります。

まとめ

賃貸マンション事業は、感覚ではなく数字で判断する時代です。
「利回り」「建築費」「土地価格」という3つの軸を整理し、
収益から逆算して土地予算を決めることが、失敗しない土地選びの基本です。

ここで誤っていけないのは、相場より安いかOKという考え方です。
いくら相場より安かったとしても事業採算が合わなければ意味がないのです。

その土地で“成り立つか”を冷静に判断できる地主・投資家こそ、
安定した不動産収益を長期的に得ることができるのです。

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