【開発行為とは?】許可が必要なケースをわかりやすく解説

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土地を造成したり、宅地として利用したりする前には都市計画法で「開発行為(かいはつこうい)」というルールが関わってきます。

家を建てる、分譲地をつくる、駐車場を整備する――これらも内容によっては「開発行為」にあたる場合があります。

この記事では、開発行為とは何か、どんな場合に許可が必要なのかを区域別にわかりやすく解説します。


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開発行為とは?

「開発行為」とは、建築物を建てる目的で土地の区画形質を変更する行為をいいます(都市計画法第4条第12項)。

つまり、建物を建てるために土地を造成したり、分筆して道路をつくったりする行為が該当します。「ただの造成工事」や「農地を宅地にするだけ」と思っていても、実際にはこの開発行為にあたる可能性もあります。


「区画形質の変更」とは何か

開発行為の定義で出てくる「区画形質(くかくけいしつ)の変更」とは、土地の形や使い方に関する性質を変えることを指します。分かりやすく言えば、土地の区切り・高さ・使い道を変えることです。

「区画」「形」「性質」のそれぞれの変更について説明していきます。

区画の変更

建築物の建築を目的として、1筆の土地を複数に分ける(分筆する)行為は開発行為に該当します。
特に次のような場合が典型的です。

  • 宅地分譲のために1筆を2区画以上に分ける(分筆と言います)
  • 分筆に伴い、新たに道路(私道・通路)を設ける
  • 建築予定地ごとに造成・区割りを行う

単に登記整理のための分筆ではなく、建築を前提とした土地の再区画が行われる場合は、必ず開発行為となります。

形の変更

建築物の建築を目的として、地形を変えて土地を宅地として整える行為も、開発行為に該当します。
特に以下のような盛土・切土の規模を伴う造成は、開発扱いとなります。

  • 盛土の高さが1m以上
  • 切土の深さが2m以上
  • 盛土・切土を行う面積が500㎡以上

これらは「形の変更」として都市計画法上の開発行為にあたります。
特に2mを超える造成では、「宅地造成等規制法」に基づく造成許可も同時に必要になるケースが多くあります。

性質の変更

もともと農地や山林だった土地を、建築を目的として宅地に変える場合も開発行為に該当します。

  • 農地を宅地に転用して住宅を建てる場合
  • 山林や原野を造成して宅地化する場合
  • 資材置場や工場跡地を住宅用地に変更する場合

特に農地を転用する際は、都市計画法の開発許可に加えて、農地法(第4条・第5条)による転用許可も必要になりこともあります。

農地法の許可を得ても、都市計画法上の開発許可を免れるわけではないため、双方の申請が必要です。


開発行為に許可が必要か?

許可制度の目的は、単に土地を整えることではなく、「安全で秩序あるまちづくり」のための制度です。

無秩序に造成や分譲が行われると、以下のような問題が起こります。

  • 道路や排水設備が整っておらず、災害時に危険
  • 周辺地域との調和が取れない
  • 上下水道や交通など、都市計画に支障が出る

そのため、都市計画法では開発行為を行う際に「都道府県知事などの許可」が必要と定められています。
無許可で開発を行った場合、工事停止命令や原状回復命令が出ることもあります。


区域別|開発行為に許可が必要なケース

開発行為に許可が必要かどうかは、その土地がどの「区域」にあるかによって異なります。
都市計画法上の区域は大きく以下の4つに分かれます。


市街化区域の場合

「市街化区域」は、すでに市街地として整備が進んでいる区域です。
ここでは、原則として開発行為には許可が必要です。

ただし、市街化を促進する区域であるため、一定の小規模開発については次のように許可不要になる場合もあります。

  • 開発面積が 1,000㎡未満 の小規模な開発
  • 個人の自宅を建てるための造成(要件を満たす場合)

許可不要の範囲は自治体によって条例で定められているため、事前確認が重要です。


市街化調整区域の場合

「市街化調整区域」は、原則として市街化を抑制する区域です。
つまり、基本的に開発行為はできません。

ただし、以下のような例外的なケースでは許可されることもあります。

  • 既存の集落内で居住用の住宅を建てる場合
  • 公共施設や公益上必要な建築物を建てる場合
  • 都市計画で特別に指定された地区(例:開発許可条例に基づく地区)

市街化調整区域内で建築を予定している場合は、早めに自治体(都市計画課など)に相談することが不可欠です。


非線引き都市計画区域(線引きされていない区域)

都市計画区域であっても、「市街化区域」「調整区域」に線引きされていない区域を非線引き区域といいます。この場合、原則として開発許可が必要ですが、以下のように規模が小さい場合は不要とされています。

  • 開発面積が 3,000㎡未満 の開発(自治体によって異なる)

中小規模の宅地造成や店舗建設でも、非線引き区域では開発許可が求められることが多いため注意が必要です。


都市計画区域外の場合

「都市計画区域外」は、都市計画法の対象外の地域です。
この場合、開発許可は不要です。

ただし、他の法律による制限がかかる場合があります。
たとえば――

  • 農地法(農地転用許可が必要)
  • 森林法(伐採・造成の許可が必要)
  • 景観法や土砂災害防止法 など

都市計画法での許可が不要でも、別の法令で手続きが求められることを忘れないようにしましょう。


開発行為を行う前に確認すべきポイント

実際に造成や建築を行う前に、以下の手順で確認しておくことが重要です。

  1. 市区町村役場で都市計画図を確認する
     → 自分の土地がどの区域に該当するかを確認。
  2. 自治体の都市計画課・開発指導課に相談する
     → 許可の要否・面積基準を教えてもらえる。
  3. 他法令(農地法・森林法など)もチェックする
     → 都市計画法以外の規制がある場合が多い。

まとめ|開発行為の可否は「区域」と「目的」で決まる

開発行為は、建築を目的とした土地の区画形質の変更です。
許可が必要かどうかは、土地がどの区域にあるかで変わります。

区域開発許可の要否主な基準
市街化区域原則必要(小規模除く)約1,000㎡以上で許可要
市街化調整区域原則禁止例外的に許可あり
非線引き都市計画区域原則必要約3,000㎡以上で許可要
都市計画区域外原則不要他法令に注意

開発行為は土地利用の最初の関門です。「知らなかった」では済まされないことも多いため、必ず自治体に確認してから工事や造成を進めるようにしましょう。

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