建物を建てるには行政の確認が必要
建物を建てるとき、「自分の土地だから自由に建てていい」と思っていませんか?
実は、建物の新築・増築・改築を行う際には、行政による確認手続きが必ず必要です。
この確認は、建物が建築基準法という法律に適合しているかをチェックするもの。
地震や火災に対して安全か、周辺環境に悪影響を与えないかなどを審査します。
もし、この確認を受けずに建築を進めると、違反建築物とみなされるおそれがあります。
違反建築となると、
- 建物を使用できない
- 売却・融資が受けられない
- 行政指導や罰則の対象になる
など、非常に大きなリスクがあります。
つまり、「行政の確認を受けること」は、安全で合法的な建物をつくるための第一歩なのです。
建築確認〜中間検査〜完了検査までの全体の流れ
建物を建てる際の行政手続きは、主に次の3つのステップに分かれます。
①建築確認 … 建築前に、計画内容を審査
②中間検査 … 工事中(構造体ができた時点)に安全性を確認
③完了検査 … 建物完成後、最終的なチェックを行う
それぞれの段階で、行政または指定確認検査機関が図面・現場を確認し、基準を満たしているかを判断します。
↓流れをざっくりまとめると次のようになります↓
設計 → 建築確認申請 → 確認済証の交付 → 工事開始 → 中間検査 → 工事再開 → 完了検査 → 検査済証の交付
このように、建物の計画から完成までには、複数の「チェックポイント」が設けられており、
建築主・設計者・施工者・行政が連携して安全な建物づくりを進める仕組みになっています。
【第一段階】建築確認とは?建築前に行う最初の審査
建築確認とは、建物を建てる計画が法令に適合しているかを審査する手続きです。
申請は、設計図書を添えて各自治体の建築主事または指定確認検査機関に行います。
主な審査内容
- 用途地域に合っているか(住宅地・商業地など)
- 建ぺい率・容積率の制限を守っているか
- 構造・防火・避難などの安全基準を満たしているか
- 接道義務などの敷地条件を満たしているか
問題がなければ、「確認済証」という証明書が交付され、はじめて着工が可能になります。
審査にかかる期間
通常、申請から7日〜3週間ほどで交付されます(建物の規模・地域により異なる)。
注意点
審査に通らない主な理由は、法令違反の設計・用途制限の見落とし・書類不備など。
設計段階から専門家(建築士)と確認機関の意見をすり合わせておくことが大切です。
【第二段階】中間検査とは?工事中に行われる重要チェック
中間検査は、工事の途中で行われる構造安全確認のための検査です。
建築基準法では、一定規模以上の建物や構造的に重要な部分を持つ建物では、この検査が義務付けられています。
中間検査が必要な建物
中間検査は全ての建物で必要ではありません。
建築基準法第七条の三には、階数が3階以上である共同住宅の床及びはりに鉄筋を配置する工事を終えたときは中間検査を受けなければいけないと規定されています。
ただし、条例によって地域によって中間検査が必要な建物が追加されている可能性もありますので、役所の建築指導課に確認を行いましょう。
検査でチェックされる項目
- 構造材の寸法・配置が設計図どおりか
- 火打ち・筋交いなどの補強が正しく施工されているか
- 防火区画や耐力壁などが適切に設けられているか
検査に合格すると「中間検査合格証」が交付され、次の工程へ進むことができます。
もし不合格の場合は、是正工事を行って再検査となります。
【第三段階】完了検査とは?建物完成後の最終確認
完了検査は、建物が設計どおりに完成しているかを確認する最終検査です。
建物の引き渡し前に、建築主(または代理人)が申請します。
検査の目的
- 設計図面通りに施工されているか
- 用途・構造・面積が建築確認と一致しているか
- 防火・避難設備・採光・換気などの基準を満たしているか
検査に合格すると「検査済証」が発行され、正式に建物を使用できる状態になります。
注意点
完了検査を受けずに入居や使用を始めると、違反建築物扱いとなり、
将来の売却・融資・登記の際に不利益を受ける場合があります。
必ず完了検査を受け、検査済証を取得しておきましょう。
建築確認から完了検査までをスムーズに進めるポイント
行政手続きは少し複雑ですが、次の点を意識するとスムーズに進められます。
- 設計段階から確認機関と相談しておく
- 現場写真・検査資料をきちんと保管しておく
- 中間検査や完了検査のスケジュールを工事計画に組み込む
- 設計変更がある場合は速やかに再確認申請を行う
これらを怠ると、検査不合格や工期の遅れにつながることもあります。
事前準備と連携が成功のカギです。
まとめ:行政手続きの流れを理解して安心できる家づくりを
建築確認・中間検査・完了検査は、どれも「建物の安全と合法性を守るための仕組み」です。
手続きの流れを理解しておくことで、
- 無駄なトラブルを防ぎ、
- 計画的にスケジュールを立て、
- 安心して家づくりを進めることができます。
少し面倒に思える行政手続きも、あなたの建物と家族を守るための大切なステップ。
正しい知識を持って、安全・安心な建築を実現しましょう。


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