不動産を購入・保有すると、さまざまな税金が関わってきます。
この記事では、土地や建物に関して課税の基礎となる「固定資産評価額」の考え方から、
取得時・保有時にかかる主な税金の内容、そして各種軽減措置までを初心者にもわかりやすく解説します。
固定資産評価額とは?
土地や建物に関する多くの税金は、「固定資産評価額」 をもとに算出されます。
これは市町村が、総務省の定めた基準に基づいて毎年1月1日時点の資産価値を評価したものです。
評価額をもとに、市町村が課税標準額を算出し、そこに各税率をかけて税額を決定する流れになります。
①固定資産税評価額の決定
↓
②課税標準額の決定
↓
③課税標準額×税率 で課税
土地の評価方法
土地の評価額は、「固定資産税評価額路線価」を基準に行われます。
路線ごとに1㎡あたりの単価が定められており、土地の形状や奥行き、間口などをもとに補正を加えて評価額が算出されます。
↓固定資産税路線価は以下より確認できます↓
https://www.chikamap.jp/chikamap/Portal
固定資産税評価額路線価は、国税庁の「相続税路線価」とは異なり、概ねその70%程度の水準です。
建物の評価方法
建物評価額の場合は、各都道府県が公表している
「○○県法務局新築建物課税標準価格認定基準表」に基づき評価されます。
↓東京都の認定基準表はコチラ↓
https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/content/001413439.pdf
構造(木造・鉄骨造・RC造など)や用途(住宅・事務所・店舗など)ごとに1㎡あたりの単価が決められており、これをもとに算出します。
「中古建物」の場合は、築年数に応じた減価(経年劣化)を考慮して評価が下がりますが、評価基準は新築時の構造区分に準じます。
不動産を取得したときにかかる主な税金
土地や建物を購入・取得した際にかかる税金は主に以下のとおりです。
- 不動産取得税
- 登録免許税(所有権移転・抵当権設定)
- 印紙税
それぞれの仕組みと軽減措置を見ていきましょう。
不動産取得税
不動産取得税は、土地や建物を購入・贈与・新築などで取得した際に、都道府県が課す税金です。
計算式
不動産取得税 = 課税標準額 × 税率
- 原則税率:4%
- 住宅やその敷地については軽減税率3%(恒久化)
ー 土地に対する課税標準と軽減措置
土地の場合、課税標準額は固定資産税評価額の1/2に軽減されます。
これは「宅地または宅地比準土地」に適用される課税標準の特例で、住宅用地に限らず事業用地などの宅地も対象です。
取得税において課税標準額は宅地であれば、住宅用・事業用を問わず原則1/2に軽減される。
さらに、住宅とセットで土地を取得した場合には、次の住宅用地軽減も受けられます。
ー 住宅用地に対する追加軽減(控除)
住宅の建築と併せて土地を取得した場合には、課税標準額から一定額を控除できます。
計算式
不動産取得税 = (課税標準額 - 控除額) × 税率
控除額の計算式
45,000円 × (住宅の延床面積 × 2) ただし上限200㎡まで
この控除により、一定の住宅購入では不動産取得税がほぼゼロになるケースも多く見られます。
ー 建物に対する課税標準と軽減措置
新築建物に関しても、次の軽減が適用されます。
- 課税標準額:固定資産税評価額
- 税率:3%(住宅)
- 軽減条件:居住用であり、床面積が50㎡以上240㎡以下(マンションの場合40㎡以上)
住宅用以外(事務所・店舗など)は税率4%が適用されます。
登録免許税
不動産を取得した際には、法務局で「登記」を行う必要があります。
このとき課されるのが登録免許税です。
ー 所有権移転登記
- 土地:課税標準額 × 1.5%(軽減あり)
- 建物:課税標準額 × 2.0%(軽減あり)
住宅用の場合、特例として以下の軽減が適用されます。
- 土地:1.5% → 1.0%
- 建物:2.0% → 0.3%
ー 抵当権設定登記
住宅ローンを借り入れる際に抵当権を設定する場合も、登録免許税がかかります。
- 抵当権設定登記:借入額 × 0.1%(軽減特例あり)
印紙税
売買契約書や建築請負契約書など、一定金額以上の契約書には印紙税が必要です。
印紙を貼付することで納税します。
例:不動産売買契約書の印紙税額(軽減後)
| 契約金額 | 印紙税額(軽減後) |
|---|---|
| 500万円超〜1,000万円以下 | 5,000円 |
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 10,000円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 30,000円 |
不動産を保有している間にかかる税金
不動産を所有している限り、毎年課税される税金もあります。
固定資産税
固定資産税は、市町村が毎年課税する代表的な税金です。
計算式
固定資産税 = 課税標準額 × 1.4%(標準税率)
軽減措置
- 新築住宅は、3年間(マンションは5年間)固定資産税が1/2に軽減されます。
- 床面積が50㎡〜280㎡の住宅が対象。
都市計画税
都市計画区域内にある土地・建物に課される税金で、市街地整備などの費用に充てられます。
計算式
都市計画税 = 固定資産税評価額 × 0.3%(上限)
固定資産税と同様に、評価額を基礎に算出されます。
まとめ
不動産に関する税金は、「取得時」「保有時」「売却時」と段階ごとに発生します。
特に取得時の軽減措置をうまく活用することで、数十万円単位の節税も可能です。
- 土地は宅地なら課税標準1/2軽減
- 住宅取得ならさらに控除あり
- 新築住宅には固定資産税の減額措置も
不動産取得を検討している方は、都道府県税事務所や市町村の固定資産税課に相談しながら、
利用できる特例をしっかり確認しておくと安心です。


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