はじめに
「せっかく家を建てるなら、他にはない“こだわりの住まい”をつくりたい」
そんな思いから、建築家や設計事務所に依頼する人が増えています。
ハウスメーカーの規格住宅は、短期間でコストを抑えられる反面、デザインや間取りの自由度に限りがあります。
一方で、建築家とつくる注文住宅は、住まい手のライフスタイルに合わせて一から設計できるため、理想を形にしやすいのが大きな魅力です。
この記事では、初めて建築家に依頼する方向けに、
「家づくりの流れ」から「費用の考え方」「土地探し」「設計・施工・引き渡し」まで、わかりやすく解説します。
家づくりの全体フロー
建築家と家を建てる際の基本的な流れは、次の5ステップです。
- 予算を組む
- 土地を探す・設計事務所を手配する
- プランを作成する(設計段階)
- 建築工事(施工段階)
- 完成・引き渡し
一つひとつのステップを理解しておくことで、後悔のない家づくりが実現できます。
それぞれのステップについて詳しく説明していきます。
予算組みの考え方
家づくりを始めるうえで、まず最初に取り組むのが「予算組み」です。
全体の費用感を把握しておくことで、土地や設計の方向性を決めやすくなります。
ローンを組んで月々に支払いが可能な額から逆算して、総費用を算出しましょう。
↓予算組みについては以下の記事をご参照ください↓
総費用の内訳
家づくりの総額は、以下の4項目で構成されます。
全体=建築費+設計費+土地代+諸経費
立地によって変動する土地代以外の項目からある程度固めていくという流れが良いでしょう。
建築費
建築費は最も大きな割合を占めます。
仕様によって異なりますが、坪単価はおおよそ100〜150万円が目安。
一般的に90㎡〜120㎡で、自分たちが求める広さを設定しましょう。
たとえば延床100㎡(約30坪)で建てる場合、建築費は約3,000万円前後になります。
設計費
設計事務所に依頼する場合、設計費は建築費の10〜15%程度が一般的です。
3,000万円の建築費であれば、設計料は300〜450万円ほどを見込んでおきましょう。
諸経費
税金、登記費用、住宅ローンの手数料などを含めて、建築費の10〜15%程度を想定。
全体予算の中で意外と見落とされがちな部分なので、余裕を持たせておくことが大切です。
土地代の考え方
土地代は「全体予算 −(建築費+設計費+諸経費)」で算出します。
エリアによって坪単価が大きく異なるため、まずは建築費や設計費を固めてから土地を検討するのがポイント。
都心部では30坪前後、郊外では50〜60坪前後が一般的。
ただし、狭小地や変形地でも、建築家の設計力次第で理想のプランを実現できます。
土地探しとエリア選定
土地探しは家づくりの成否を左右する大事なステップです。
限られた予算の中で、立地・広さ・価格のバランスを見極めましょう。
エリアごとの坪単価を把握
同じ市内でもエリアによって坪単価が数十万円単位で異なることも。
「駅近」「学区」「日当たり」「商業施設への距離」など、重視する条件を整理しておくと探しやすくなります。
敷地の広さとプランの関係
一般的に30坪〜60坪あれば、建築家は柔軟な設計が可能です。
ただし、広い庭やガレージを希望する場合は、郊外など坪単価の安い地域を検討するのもおすすめです。
設計事務所・建築家の手配
土地探しと並行して進めたいのが、設計事務所の選定です。
購入前に設計士の確認を
気になる土地が見つかったら、購入前に設計士へ確認してもらいましょう。
その土地で理想のプランが成立するか、法的規制や日照条件などを踏まえてアドバイスを受けることが重要です。
早めの相談が成功のカギ
人気の建築家は予約待ちの場合も多いため、土地探しと同時に問い合わせておくとスムーズです。
自分に合う設計士を選ぶコツ
・過去の作品やテイストをチェック
・コミュニケーションの相性
・設計費の考え方や進行スタイル
自分の価値観やライフスタイルを共有できるパートナーを選ぶことが何より大切です。
プラン作成の流れ
土地が決まり、設計事務所が決定したら、いよいよプランニングへ進みます。
- ヒアリング(家族構成・生活動線・デザインの希望など)
- 基本設計(間取り・外観・構造の検討)
- 実施設計(施工図・詳細図・仕様書の作成)
この過程で、理想を言葉から“図面”へと形にするのが建築家の仕事。
じっくり打合せを重ねて、住みやすく、かつデザイン性の高いプランをつくり上げます。
建築工事(施工)
プランが確定したら、いよいよ着工です。
施工会社は、設計事務所と長年の信頼関係がある業者が担当するケースが多く、連携が取れているため安心感があります。
もちろん施主指定も可能ですが、現場管理やトラブル対応を考えると、設計士推薦の施工会社を選ぶのが無難です。
工事中は、定期的に現場打合せや進捗確認を行い、仕上がりを確認していきます。
引き渡しと施主検査
建物が完成したら、引き渡し前に「施主検査」が行われます。
ここでは、壁や床の傷、仕上がり、設備の動作確認などを細かくチェック。
気になる点があれば、その場で指摘して修正を依頼しましょう。
引き渡し後でも法的には是正請求が可能ですが、使用後の損傷と判断されるケースもあり、対応が難しくなることもあります。
理想のマイホームを守るためには、引き渡し前の確認が最も重要です。
まとめ
建築家とつくる家は、時間も手間もかかります。
しかし、それは「自分たちの暮らしをデザインする体験」でもあります。
- 明確な予算計画
- 信頼できる設計士との出会い
- 土地選びとプランニングのバランス
この3つを意識することで、世界に一つだけの“こだわりの家”が実現できます。
設計事務所と建てる家づくりは、決して特別な人だけのものではありません。
丁寧な準備と正しい知識があれば、あなたにも理想の住まいを手に入れることができます。



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