はじめに:社会人3年目、遊びたい盛りの20代がなぜ独学を選んだのか
社会人3年目の頃、まだまだ遊びたい盛りの20代でした。
休日は友人と出かけたいし、仕事も覚えることが多く、資格学校に時間を縛られたくありませんでした。
それでも、当時の私は不動産会社に勤めていて、開発案件に関わることも多く、「建築の基礎くらいは身につけておかなければ、現場でなめられるな」と思うようになりました。
ただ、正直に言うと設計図を描いたり、“細かい作業”が嫌いで不動産会社に就職しましたので、実務で手を動かすことはなく、実務的な知識はほぼ0と言っても過言ではありませんでした。
そこで一級建築士はハードルが高そうと考え、まずは二級建築士から挑戦することにしました。
仕事もプライベートも充実させたいからこそ、自分のペースで時間をコントロールできる独学という選択をしました。
二級建築士試験の概要とスケジュール
二級建築士は、住宅や中小規模の建物設計・施工監理を行うための国家資格です。
実務寄りの知識も多い一方で、学科・製図ともに範囲が広く、社会人にはハードルが高いと感じる人も多いかもしれません。
まずは試験の概要を説明します。
試験の構成
- 【1次試験:学科試験】:計画・法規・構造・施工の4科目
- 【2次試験:製図試験】:与えられた課題に対して設計図を手描きで作成
受験資格
- 建築系の学科を卒業していれば、すぐに受験可能(短大・専門・大学など)
- 実務経験があれば、他分野からも受験可能
合格基準
- 学科試験は4科目すべてで合格基準点を超える必要あり
- 例年の合格ラインは、全科目でおおむね60点以上(各科目では25点中13点以上)
- 合格率は学科で40%程度、製図で50%程度、総合で20〜25%程度
スケジュール(例年)
- 学科試験:7月上旬
- 製図試験:9月中旬
- 合格発表:12月頃
独学で学科試験を突破する勉強法
私が独学で学科試験を突破できた最大の理由は、「過去問だけに集中した」こと。
教材は過去問問題集とスマホアプリ、それだけでした。
テキストより過去問。ネットが先生。
最初の頃はテキストも買いましたが、正直ほとんど開きませんでした。
なぜなら、過去問を解いていれば自然と出題傾向や知識の関連性が見えてくるからです。
分からないところはネットで調べれば十分。
「テキストを理解して実践で問題を解く」という流れははっきり言って時間の無駄だと思います。いくら2級とはいえども学科の勉強範囲は広いために、試験に出題されそうな部分を集中的に理解する方が圧倒的に効率的です。
過去問を始めたての時は、分からないところが多く不安になりいろんなテキストに手を出しがちですが、勇気を持って雰囲気だけ理解するつもりで過去問題集一周分といてみてください。
テキスト利用した根本理解は、全体像がふわっと見えた後から始めるのが、効率的で効果的です!!
過去問7年分を3周回す戦略
私は7年分の過去問を、3周回しました。
1周目は「わからなくて当然」。
重要なのは「理解すべき部分」と「暗記せざるを得ない部分」を抽出していくことです。
絶対に解けない問題や、特殊な問題は捨てていい問題です。
ここで振り返りますが、60点取れば合格できる試験です。
理解したい・こだわりたい気持ちは分かりますが、まずは合格だけを考えましょう。
完全に理解できた問題は、どんどん削除。
3周目を終える頃には、試験前に総復習できるくらいまで問題数を絞り込むことができました。
自作の「書き込み式過去問ノート」
3周目を終えた後に、残った問題を総復習する4周目を行いました。
それでも思い出すことができず、間違えてしまった問題は過去問集に直接、解説や補足を書き込みました。
試験当日や前日の短時間でもめくるだけで総復習できるようにしました。
使用した教材とアプリ
- 過去問題集:「2級建築士試験 学科 過去問スーパー7」シリーズ
- 法令集:「建築関係法令集(TAC)」
→個人的に一番見やすいです。内容はどこのものでももちろん同じですので、めくりやすさや配置の見やすさで選びましょう - 学習アプリ:「2級建築士受験対策 TK office」
→通勤時間や職場の休憩時間でテキストを広げることができない時でも暗記ができます!
正直、教材をあれこれ増やすと「勉強した気」になって終わります。
重要なのは、限定した教材を徹底的に使い倒すことです。
4ヶ月で仕上げる勉強スケジュール公開
私は4月から勉強を始め、本番(7月)までの約3ヶ月半をフル活用しました。
最初に立てたのは「過去問ノルマ表」。
過去問を何周回すか×残り日数で、1日あたりに解く問題数を算出しました。
実際の計算式
- 問題数:100問×7年=700問
- 理解した問題は削除していって3周するとして
1周目:700問
2周目:700問×0.8=560問(2割削除)
3周目:700問×0.5=350問(半分削除)
総数1610問を設定 - 残り97日(平日66日、休日31日)
- 平日は1日分、休日は2日分と換算
→128日換算で平日は1日12.5問、休日は25問
これで「最低限やるべき量」が明確になりました。
後半になるほど理解が進み、1問にかかる時間も短くなっていくため、
後半は平日のノルマを増やして休日を試験時間を実際に計って模試を行いました。
特に法規は時間が限られますので、平日の勉強から1問当たりにかける時間も計っていました。
遊びも大切に
社会人なので、休日は予定が入ることもあります。
遊ぶ日がある場合は、1週間前からその日のノルマを前倒しで調整。
自分を追い込みすぎないのが、継続のコツです。
模試で“アウェー受験”する勇気
模試は外部受験を利用しました。
スクール生ばかりの中に独学で乗り込むのは正直きついです。
でも、「学校行かないと受からないぞ」という営業マンの不安を煽ってくるトークが、
逆にやる気を出させてくれます。
この気持ちの切り替えが、ラストスパートの原動力になりました。
二次試験(製図)は総合資格で攻略
学科試験合格後は、製図試験の勉強に移ります。
ここは完全独学では難しいと判断し、総合資格学院に通いました。
理由は単純で、「先生に直接質問できる環境が欲しかった」から。
実務経験もなく、製図初心者だったので、プロの指導を受けるのが近道です。
2ヶ月で仕上げる「倍やる戦略」
製図試験は与えられた課題をどれだけ正確に仕上げられるかが勝負。
私は実務経験がありませんので、他の人より倍の量をこなすことを目標に頑張りました。
毎週与えられる課題を2パターン作成して提出していました。
- 自分で作図
- 自己添削
- 疑問点をリストアップして紙にまとめて課題と共に提出
この繰り返しで、短期間でも確実に力がつきました。
合格率はおよそ50%。
プランの“良し悪し”よりも、ミスをしないことが最も大切です。
正確さと丁寧さを意識すれば、十分勝負できます。
プランにこだわりたい気持ちも、課題をこなせば芽生えてきますが、ルールを守った受かるための図面を書きましょう。
センスは不要です。
結果発表とまとめ
結果は――78点で一発合格。
学科は完全独学、製図はスクール併用という形でしたが、
「社会人でも半年で合格できる」という手応えを実感しました。
過去問を軸にした勉強法は、時間が限られた人ほど効果的です。
大切なのは「完璧にやろうとしないこと」。
取捨選択をして、自分のペースで続けることが、結果につながります。
まとめ:二級建築士は「正しい戦略」で誰でも狙える資格
二級建築士は、正しい勉強法と戦略を立てれば、社会人でも十分に合格できます。
独学に不安を感じる方もいるかもしれませんが、
過去問を軸にした積み重ねと、自分なりのスケジュール管理ができれば必ず道は開けます。
「資格勉強=我慢」ではなく、「人生の投資」と考えて、
半年間だけ本気でやってみてください。
きっと、合格通知と一緒に“自分の自信”も手に入るはずです。


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