不動産を購入したり新築したりすると、購入代金以外にもさまざまな税金が発生します。
その中でも見落とされがちなのが 「不動産取得税」 です。
この記事では、不動産取得税の仕組みや計算方法、軽減措置、納付の流れまでを初心者向けにわかりやすく解説します。不動産購入を検討している人や、建物を新築する予定の人は必ずチェックしておきましょう。
不動産取得税とは？初心者向けにわかりやすく解説
不動産取得税とは 不動産を取得した際に都道府県から課税される税金（地方税） です。
不動産を「買った」「もらった」「建てた」など、所有権を取得する行為が発生した場合に課税 されます。
課税対象になる主なケース
- 土地を購入した場合
- 中古住宅を購入した場合
- 新築住宅を建てた場合（建物の建築）
- 建売住宅を購入した場合（建物部分＋土地）
不動産取得税の特徴
- 取得時に1回だけ課税
- 毎年かかる固定資産税とは違う
不動産購入後は初年度の支払いで「思ったより費用がかかった」と感じる人も多いため、事前に知っておくことが大切です。
不動産取得税がかかるケースとかからないケース
不動産取得税には、不動産を取得しても課税されないパターンがあります。詳しくは以下の通りです。
課税される取得の例
- 売買（一般的な購入）
- 新築建築
- 交換・贈与
- 相続以外の取得全般
非課税になるケース
- 相続による取得（非課税）
- 公共用財産の取得（公園敷地、公民館、用悪水路）
- 国や地方公共団体が取得する場合
多くの人が利用する「相続」は非課税となるため、申告の必要もありません。
不動産取得税の計算方法【土地】
土地に対しては次の計算式で税額が決まります。
基本の計算式
土地取得税 基本の計算式
固定資産税評価額 × 3％
しかし、土地には期間限定の軽減措置があり、次のように評価額が 1/2に減額 される特例が長期間続いています。
土地の軽減措置（期間限定）
土地の取得税は期間限定で課税標準（評価額）が1/2に軽減されます。
土地取得税 軽減適用の計算式
固定資産税評価額 × 1/2 × 3％
※本記事作成時点(2025年11月9日時点)では2027年（令和9年）3月31日までとなっておりますが、おそらく延長されることになるかと思われます。
計算例（軽減措置適用時）
実際の数字を用いて計算を行ってみましょう。
- 土地の評価額：1,000万円
- 軽減後評価額：500万円
- 不動産取得税：500万円 × 3％ ＝ 15万円
土地は軽減が強力なため、住宅取得時は税額が低く抑えられるのが特徴です。
不動産取得税の計算方法【建物】
建物の税率は土地とは異なります。
基本の計算式
土地取得税 基本の計算式
固定資産税評価額 × 4％
新築か中古かによって評価額の算定方法が異なります。
新築住宅の場合
- 固定資産税評価額は自治体の評価基準で算出
- 購入価格とは異なる（一般に購入価格より低い）
中古住宅の場合
- 経過年数に応じて評価額が減少する（減価）
- 築古住宅ほど不動産取得税は少額になる傾向
計算例
- 建物の評価額：1,200万円
- 不動産取得税：1,200万円 × 4％ ＝ 48万円
住宅購入時に使える主な軽減措置（住宅・土地）
不動産取得税には、住宅取得者向けの強力な軽減措置が用意されています（年度ごとに内容が変わるため、最新情報は自治体で要確認）。
新築住宅の建物に関する軽減
新築住宅の建物部分については、以下の軽減措置が適用されます。
- 課税標準からの控除: 固定資産税評価額から1,200万円（長期優良住宅の場合は1,300万円）が控除されます。
- 軽減税率: 本来4%の税率が3%に軽減されます。
適用要件
新築住宅の建物取得税軽減を受けるための要件は以下の通りです。
- 床面積: 50㎡以上240㎡以下であること。
- 用途: 自己居住用の住宅であること
新築住宅の土地に関する軽減
新築住宅の敷地である土地についても、以下の軽減措置が適用されます。
- 課税標準の特例: 土地の固定資産税評価額が1/2に減額されます。
- 税額からの控除: 以下のいずれか多い額が税額から控除されます。
- 45,000円
- 土地1㎡あたりの価格 × 住宅の床面積の2倍（上限200㎡）× 税率3%
適用要件
土地の軽減措置を受けるには、土地を取得後3年以内に、その土地の上に住宅が新築しなければいけません。
不動産取得税の申告・納付の流れ
不動産を取得すると、都道府県から 「不動産取得税 納税通知書」 が郵送されてきます。
基本の流れ
- 不動産の取得
- 都道府県が評価額をもとに税額を算定
- 納税通知書が自宅へ届く
- 軽減を受けたい場合は申告
- 指定された期限までに納付
納付方法
- 金融機関
- コンビニ（自治体による）
- クレジットカードや電子納付（自治体による）
住宅軽減を受ける場合、建物の登記事項証明書・売買契約書の写しなどを提出 する必要があります。
不動産取得税でよくある質問（FAQ）
Q1：土地と建物は同時に課税される？
A：時期が少しズレる場合があります。土地は購入後、建物は完成後に課税されるのが一般的です。
Q2：建築途中（未完成）の建物は課税される？
A：いいえ。課税は原則 完成後 です。
Q3：軽減の申告を忘れるとどうなる？
A：税額が高いまま課税される場合があります。必ず申告しましょう。
Q4：中古住宅でも軽減を受けられる？
A：受けられるケースが多いです。耐震性などの要件を満たす必要があります。
まとめ
不動産取得税は、不動産を取得した際に1度だけ課税される税金です。
土地は「3％」、建物は「4％」の税率で、土地には評価額1/2の特例 が用意されています。
住宅取得時はさまざまな軽減措置を使うことで大幅に税額が減る可能性があるため、購入前に必ず仕組みを理解しておきましょう。
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