一級建築士試験に挑戦した理由
私は大学時代に建築学科を卒業しており、「いつかは一級建築士を取らなければならない」と思い続けていました。しかし就職先として選んだのはデベロッパー。設計や施工を専門にするわけではなかったため、受験はずっと先延ばしになっていました。
その間に二級建築士までは取得したものの、自分の中ではどこか「中途半端」に感じていました。さらに20代後半に差しかかり、「やるべきことは早めに終わらせて、もっと面白い仕事に挑戦していきたい」という思いが強くなっていきました。
さらに、独学での挑戦を選んだのには理由があります。2級建築士の学科試験も独学で合格した経験があり、「一級も工夫すれば独学でいけるのでは」という自信があったからです。
金銭面の負担を抑えたい気持ちもありましたし、学校に通い無駄な宿題や授業に時間を割くより自分に足りていない部分の勉強に徹底的に時間を割り当て、友人や家族、自分のプライベートの時間を確保したいという思いがありました。(ちなみに勉強期間中にフルマラソンにチャレンジしたり、大好きなアーティストのライブに行ったりもしていました。)
試験概要と感じた難易度
初めて受験される方に向けて試験概要を説明します。
詳細は試験元のサイトをご参照ください。(建築技術教育普及センター)
一級建築士試験は、建築に関する幅広い知識と実務能力が求められる国家試験です。試験は 「学科試験」と「設計製図試験」 の二段階で構成されており、両方に合格する必要があります。
学科試験
- 実施時期:例年 7月頃
- 出題形式:マークシート方式(択一式)
- 科目:計画、環境・設備、法規、構造、施工 の5科目
ー 点数配分(全125点満点)
- 計画:20点
- 環境・設備:20点
- 法規:30点
- 構造:30点
- 施工:25点
ー合格基準点(目安)
- 総得点:87点程度/125点満点(毎年調整あり、概ね7割前後)
- 科目別基準点(足切りライン):各科目で基準点の1/2程度(毎年調整あり、概ね5割前後)
- 計画:11点以上
- 環境・設備:11点以上
- 法規:15点以上
- 構造:15点以上
- 施工:13点以上
半年間の勉強法と意識したポイント
一般的に一級建築士学科試験に要する期間は1年間と言われています。私の場合、半年しか残されていなかったため、受かるためのポイントを集中的に攻めるというところを意識しました。勉強法と意識したポイントをお話しします。
勉強方法
勉強方法は単純。過去問を徹底的に行いました。
一級建築士試験は範囲がありえないほど広いです。
半年間の短期間決戦ということもあり、全てを覚えるのは時間的にも、脳みそのキャパ的にも絶対無理だと判断しました。そこで「原理把握をすべきポイントの抽出」で勉強時間と暗記量の削減を意識しました。
私はR7年度受験でしたので、総合資格学院の過去問集(H21年〜R1年の11年分)をメルカリで入手し、さらに直近5年分(R2〜R6)が含まれた過去問題集を市販で購入しました。(使用教材は後半にリンクをまとめています。)
また朝起きて目が空いている時間の中で、仕事と座って勉強ができる時間以外は、アプリで一問一答を行いました。
意識したポイント
学習初期は、分からない用語や内容が多く、全てを調べていると無駄な時間を浪費してしいる可能性があります。そこで序盤は、勇気を持って調べすぎずに進めることを意識しました。
まずは全体像を把握し、繰り返す中で重要ポイントが自然と浮き彫りなっていきます。
浮き彫りになり始めたら、原理理解と暗記をひたすらやっていくのみとなります。
スケジュール
平日は会社勤め、土日祝休みの私が実際に勉強を行ったスケジュールです。
1月〜3月
- 年末年始しっかり遊んで休み、仕事始めと同時に勉強を始めました。ちなみに法令集の線引きだけは帰省の際に家族協力の元、済ませておきました。
- 過去問11年分1周目。科目ごとにまとめて解く。(バラバラに解くとポイントや雰囲気を忘れてしまうので、1科目ごとに集中的に行いました。)
- わからない問題だらけだが、とにかく最後まで解く。わからない問題は即解説を読む。(法規は法令集を引いて法文に目を通す。完全に理解しなくてOK)
- 用語や問題の雰囲気を掴むことを優先。
4月〜5月前半
- 過去問11年分2周目
- 出題の傾向や注意すべきポイントがちょっとだけ見え始める。
- 全体の4分の1程度を「理解した問題」として除外できた。
- 原理理解すべきポイントや暗記すべきポイントがなんとなく見え始める。
5月前半〜6月中
- 過去問11年分3周目
- 半分程度は理解でき、原理理解すべきポイント、暗記すべきポイントがさらに明確に。
- 「原理理解すべきポイントと暗記すべきポイント」を重点的に叩き込む。
6月以降
- 平日:過去問11年分4周目。3周目で取りこぼした問題を復習。
- 週末:直近5年分の過去問を模試として、時間を測りながら本番形式で解き、実践感覚を鍛える。
- 原理を理解することで、暗記項目は問題集の巻頭の白紙(A3程度)の中に整理できた。
7月(直前期)
- 4周目でも取りこぼした問題に関しては、問題集に直接解説やワードを書き込み、試験前日や当日に総復讐できるようにする。
- 週末は直近5年分を再度通しで解き直し、本番を意識した仕上げ。
結果発表とあと1点の壁
R7年度初受験の結果は、、
計画:10点
環境・設備:18点
法規:26点
構造:25点
施工:21点
合計:100点
合計点は基準点(87点)を余裕で超えていましたが、計画が1点足らず足切りとなり、不合格となりました。
計画は過去問演習だけではカバーしきれず、世界の建築事例や時事問題、建築一般など、建築人としての地力が試される科目だと痛感しました。
来年に向けては、建築史・著名建築家・最新の建築トピックなどを日常的にインプットし、短期集中ではなく、コツコツ地力を鍛えることにするとします。
法規・構造・施工・環境設備については忘れないように復習しながも補強に努め、全体を底上げしていきたいと思います。
次に挑戦する人へのアドバイス
学習期間としては短め、独学でかつ初受験でも、十分に合格できたと実感しました。
資格学校から「独学は難しい」と煽られることもありますが、流されずに自分に合った対策を立て、しっかり時間を確保できれば、十分戦える試験だと思います。
来年こそ必ず合格します!
使用教材一覧
模試形式で通しで解く場合の過去問は、正直どこのものでも構わないと思います。総合資格の過去問教材に関しては、各科目の中でも分野ごとに問題を振り分けてまとめてくれているため、試験の全体像と要点の把握のスピード感はめちゃくちゃ上がったと思います。
私個人的にはTACの法令集が配置・カラーリングが見やすいと思います。こちらに関しては個人差あると思いますので本屋さんで実物を見た方がいいかもしれませんね。
仕事と座っての勉強時間以外は永遠にこちらの一問一答を解き続けました。一問ごとにチェック機能があり理解した問題と理解していない問題の整理にとても便利です。完全に暗記した問題・理解した問題にチェックをつけていき、試験当日までに全部の問題にチェックがつくようにしました。
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